カナダ・バンクーバー地域で活躍するフライトインストラクターたちのブログです。
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タイミング   ◆Mの訓練日記
今日は7月11日です。
1962年(昭和37年)の今日、第二次大戦後初の国産旅客機YS-11の試験飛行機1号機が三菱小牧工場でロールアウトしました。
YS-11の誕生日といったところでしょうか。
戦後初の国産機ですから、設計者全員は戦争中に軍用機を作っていた人たち。
イマイチ民間輸送機の強度の目安がよく解っていなかったらしく、YS-11は欧米の民間輸送機に比べ桁違いに頑丈に設計されたようです。
おかげで現在も飛び続けているのですが。

1972年末までに182機が生産。しかし販売網がうまく構築できないままで予想より売上が伸びず、また海外では初めて作った機体のために信頼性がなく足元を見られて値下げを続け、原価を割った価格で販売することも珍しくなかったようです。
昨日のアメリカ1セントと同じ。
それでも生産終了時点で同クラスの民間輸送機ではフォッカー・フレンドシップに次ぐ売上だった事を見ればかなり健闘したと思います。
しかし赤字は免れず、1971年12月28日の国会で政府(佐藤栄作内閣)はYS-11生産中止と製造元の日本航空機製造の解散を決定します。
これだけを見れば、せっかく完成した飛行機を利益が出せないというだけの理由で諦めてしまうなんてもったいないと感じてしまいます。
初めて作った飛行機から儲けようなんて虫がよすぎると言うかなんと言うか。
次に繋げようとは考えなかったのでしょうか。
それ以来、日本の航空産業は欧米の下請けとなってしまいますが、着実に技術力と信頼性を上げていきます。
現にA380やB787の開発に占める日本企業の割合はそれを証明しています。


以前、訓練している空港に三菱のMU-2が飛んできました。
カナダ人の校長に「これはどこの飛行機か知ってるか?」と聞かれ、「?」。
今更ながら無知を恥じていますが、三菱がターボプロップの双発機を作っていたなんて知りませんでした。
しかも40年以上前から。
校長曰く「これは俺が一番好きな飛行機だ。」って。
見た感じ重心が低くくて安定性がありそうです。ランディングギアも丈夫そうに出来ていて扱いも簡単そう。
ぜひ乗ってみたい機体です。

MU-2の開発がはじまった当時、三菱はYS-11の為に多くの技術者が日本航空機製造に出向していました。
その為MU-2の開発には飛行機の経験がない若手技術者があたることに。
ゼロからの飛行機開発です。
三菱に保管されていた戦前戦中の軍用機の図面やアメリカの飛行機雑誌を見て勉強しながらの開発。
また、当時としては珍しい全く最初からの民間機開発でした。というのも当時の小型機は戦中の軍用機からの転用が多く、そのほとんどが軍用機の機体をそのまま流用してエンジンだけをターボプロップに載せ代えだけのものでした。
そんな初めての挑戦にも関わらずMU-2の総生産数762機、世界27カ国で販売され世界の小型機の中でもベストセラーとなりました。
が、しかし1971年に円が固定相場制から変動為替に移行すると円高が急速に進みせっかくの売上も為替損で赤字に転落。
続いて1973年の中東戦争によるオイルショックで更に業績は悪化します。
そして1987年に三菱は新型機MU-300の販売に集中するためMU-2の生産を終了します。


大型機にしろ小型機にしろ、飛行機というものは決して安い買い物ではありません。
タイミングを逃すと良い物でも売れなくなってしまいます。
技術だけでなく、事前のマーケティング、開発後の販売網、顧客へのアフターサービスなどいろいろ大変です。
更にセールスする国との政治的、経済的な関係、産油地域の情勢なんかも加わって飛行機を作って売るのはギャンブルに近い物があるのかもしれません。

大変です。

私個人もタイミング悪いです。
だから大変です。


次は環境適応型高性能小型航空機(ナガッ!)です。
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コメント
この記事へのコメント
YS-11は すばらしい飛行機ですよ。しかし タイミングが悪かったですね。   日本は GHQに航空機の製造を7年間停止させらたのは 痛い。その間に欧米に差をつけらた。 同じように敗戦したドイツも航空機の製造を禁止されたが 動力のない グライーダーを作り続け 今では グライダー王国としての地位を築きました。 日本は 航空の技術が 新幹線へと 変化したのは有名な話。 
しかし 日本ももう一度航空機作ればいいのに。  セスナやシーラスに変わる グラスコクピット単発小型機を。。。。。 巡航250ノット 燃費 プリウスなみ、 価格 2000万くらいで 。 できそうな もんですがね。。。。。  
2006/07/11(火) 21:46:01 | URL | pic #-[ 編集]
カナダにも・・・
タイミングの悪い飛行機がありました。
冷戦時代にアブロ社が開発していたCF-105 ARROW。カナダの航空技術を一気に高めたプロジェクトは、予算的かつ政治的な理由から当時の首相が開発中止を決定。多くの技術がアメリカに流れてしまいました。
そういうケースもあるので、量産までこぎつけただけでもYS-11やMU-2は成功だったかもしれません。

たしかに、あそこでYSを放棄せずに続けていたら、現在世界第3位の航空機メーカー・ボンバルディアに追いつき追い越さんばかりのメーカーは、エンブラエではなく日本航空機製造だったかも。

ここはちょっとホンダさんに頑張ってもらいましょうか。
http://www.honda.co.jp/news/2003/c031216-hondajet.html

ところでMU-2は、事故が多いことで有名でした。
こんな直進性の悪そうなずんぐりむっくりの胴体で、翼には約700馬力のエンジンが左右一機ずつ。
http://www.airliners.net/open.file?id=1068421&WxsIERv=Zvgfhovfuv%20ZH-2%20Fbyvgnver%20%28ZH-2O-40%29&Wm=1&WdsYXMg=Hagvgyrq&QtODMg=Noreqrra%20-%20Qlpr%20%28NOM%20%2F%20RTCQ%29&ERDLTkt=HX%20-%20Fpbgynaq&ktODMp=Znl%2028%2C%202006&BP=0&WNEb25u=Tnel%20Jngg%20-%20NveGrnzVzntrf&xsIERvdWdsY=Q-VFGP&MgTUQtODMgKE=&YXMgTUQtODMgKERD=547&NEb25uZWxs=2006-06-30%2019%3A27%3A14&ODJ9dvCE=&O89Dcjdg=436FN&static=yes&width=1200&height=812&sok=JURER%20%20%28ZNGPU%20%28nvepensg%2Cnveyvar%2Ccynpr%2Ccubgb_qngr%2Cpbhagel%2Cerznex%2Ccubgbtencure%2Crznvy%2Clrne%2Cert%2Cnvepensg_trarevp%2Cpa%2Cpbqr%29%20NTNVAFG%20%28%27%2B%22Zvgfhovfuv%22%20%2B%22ZH-2%22%27%20VA%20OBBYRNA%20ZBQR%29%29%20%20BEQRE%20OL%20cubgb_vq%20QRFP&photo_nr=2&prev_id=1072348&next_id=1065355
臨界発動機が停止しちゃった時のヨーはすごそうだし、ロールはエルロンじゃなくて翼上面のスポイラーでコントロール。単純に考えると、ロールするたびに高度を失っていくことになります。
多分、主翼後縁全体にフラップを付けたかったからこういうデザインになったのでしょうが、同じフラップでもDHCのビーバーとかバッファローは、フラップのように下がりながらも通常のエルロンのように機能するデザインです。
http://www.geocities.jp/canadian_wings/2005Buffalo_01.gif

ほとんどの設計を自社で行い、まるで嫌がらせかと思われるFAAからの耐空証明取得のための基準を満たすべく奮闘した三菱の技術陣には心から敬意を表さずにはいられませんが、
個人的にはあまり好きな飛行機ではないなぁ・・・。
スミマセン。
2006/07/12(水) 00:25:42 | URL | NHK #-[ 編集]
旨いんだか不味いんだか。
なるほど、MU-2にはそんな弱点があったんですか。
スポイラーを立ててロール。。。
シブイ。
現在の常識では考えられませんね。
多分当時の開発者達は飛行機に乗ったことがなかったのかも。
それはありえますね。
実際、YS-11の開発者達も軍用機の経験こそあれ、民間機は見たことも乗ったこともなかったでしょうし。
だからYS-11はミリタリーちっくだって。

日本食を食べたことのないカナダ人シェフが見よう見まねで寿司を握るような感じでしょうか。

カナダちっくなメープルシロップ味の酢飯。
2006/07/12(水) 14:50:11 | URL | エム #-[ 編集]
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