カナダ・バンクーバー地域で活躍するフライトインストラクターたちのブログです。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--/--/--(--) --:--:--| スポンサー広告| トラックバック(-) コメント(-)
a i r t a x i   ◆ p i l o t a g e
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
p i l o t a g e は、
飛行機好きのすべての人と、
そうでもないすべての人にお届けします。
きょうびのにゃんこ は、
ネコ好きのすべての人と、
そうでもないすべての人にお届けします。
そして、日本の朝のテレビ番組とは、
まったくもって似て非なるコーナーです。

p i l o t a g e と きょうびのにゃんこ は、
影のエアポート・マネージャー、Cougar 氏
の今日の横顔を紹介しながら綴る、
当ブログ管理人担当 titmouse による、
パイロット・エッセイです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




a i r t a x i

 子供の頃、それが図書館で見つけた物語だったのか国語の教科書に載っていた教材だったのか記憶が定かでないので、万が一にもご記憶の方がいらっしゃったら作品名と著者をぜひ私に教えてほしいのですが、タクシーの運転手が主人公で客との心の交流を描いたお話に出会いました。彼の車の後部座席にはいつもオレンジが2、3個置いてあっていつも爽やかな香りを車内に漂わせ、そのオレンジが元になって最初は無口だった客との会話が弾んだりします。物語のテンポや文章のリズムが私の大好きな宮沢賢治の作品を想い起こさせ、様々な人生を背負って現われる客はゴーシュの元を次々に訪れる動物たちであり、彼の走る風景よりもずっと世界の広がりを生むオレンジは銀河鉄道の宇宙観であったり、もちろんこの物語に触れた子供の頃はそんな理屈ぬきに直感的に好きだったわけですが、今想い起こしても、もう一度じっくり読んでみたい気がします。
そして日本に居た頃、地方でタクシーに乗るのは私にはとても楽しいイベントでした。運転手に必ず最近の天気の話から持ちかけて、決してJリーグではなく巨人がいいの悪いのという話へ、そうやって親しくなると伝わってくる運転手の土地の訛りや地元情報にはいつも楽しまされました。
 私のパイロットとしての仕事に air taxi という業務があります。法的には「不定期運送業務」と云って、皆さんが普段利用する定期便ではない、個別注文のチャーターとか遊覧飛行なんかもこれに当たります。ですから有名なロックバンドが派手な塗装の大型ジェット機で大勢のスタッフや機材と共に世界ツアーを回ったりする時のパイロットも air taxi 、しかしながらやはり、単発エンジンで4人乗りのプロペラ機の方が、air taxi という言葉の響きがしっくり来るような気がします。
つまり私はどうも「俳優」より「役者」の芝居が見たくて、「アーティスト」より「ギター弾き」の演奏が聞きたくて、「施工責任者」より「棟梁」の建てる家に住みたくて、だから air taxi ならば「操縦士」より「運ちゃん」が飛ばしたいのです。少し話がそれますが、ある大富豪が山中で運転していたロールスロイスの車軸が岩に擦れて折れてしまい、連絡をするとたちまちヘリコプターで替わりの車軸と修理工が届けられ、後日いつまで経っても請求書が届かないので電話をすると「ロールスロイスのシャフトは折れません!」と一喝され電話を切られたと云う大見得を切るような話も好きなのです。
狭い空間で見知らぬ他人と時間を過ごす air taxi ですが、自動車のタクシー業務にそのご苦労への敬意も含めて云えば、あまり「いやなお客」さんには当たりません。どうも飛行機には「命を預ける」感が強いようで、たとえそれが引きつった作り笑顔であっても大抵お客様は私に丁寧に接してくれるので、良好なコミュニケーションが取りやすい幸運な仕事だと云えるでしょう。操縦を教える教官としての仕事では、趣味で免許を取る方で短くても2、3ヶ月、プロを目指す学生ならもっと長く生徒さんとのお付き合いがあり、ある程度時間をかけて相手を知り自分を伝え、よりよい人間関係を築くことができますが、air taxi は一期一会。であるからこそよりお客様との心のふれあいがより大事であろうと、下手な保険会社のCMみたいな表現しかできませんが、思います。
 結婚記念日のサプライズ・プレゼントとして奥様を遊覧飛行に連れ出し、とある地方空港のレストランでランチをしようと air taxi を予約されたお客様がありました。内緒で子供たちを自分の両親に預け、さりげなく飛行機でも見に行こうと奥様を連れ出し私たちの会社をふらっと訪れたという芝居をして、彼は奥様に計画を打ち明けます。しかし映画やドラマのように上手く行かないのが世の常。感動を見せるどころかあまり乗り気でなく、大昔の遠い外国の旅客機事故について語り始めた奥様を彼は愛の力で説得し、私は運行の安全性を説き、何とか出発した機内には彼の望んでいたのとは少し違った空気が流れて、私は黙々と操縦を続けます。おまけに訪れた飛行場のレストランが予想外の「本日休業」だったりすると、オレンジの2、3個ではとても癒されないであろう帰りの機内の空気を予測して、"air taxi" は "ground taxi" を呼び、海の見える素敵なレストランへ彼らを送り出しました。遅れる帰りのため他の予定をすべてキャンセルし、私は日がな一日何もない飛行場で彼らの帰りを待つことになりましたが、運良くとても素晴らしいレストランでランチが出来てすっかり幸せ気分になった奥様と得意げなご主人、帰路は後席の二人の惚気話に当てられて私も何だか嬉しい気持ちになりました。この air taxi のお話のオチとしては、まずまずだったでしょうか。子供の頃に出会ったあの本の「運ちゃん」のように、また私を楽しませてくれた地方の「運ちゃん」のように、私もいつも心の通う「運ちゃん」でありたいと思うのです。

 私も含めて日本では叶わないことの為にカナダを訪れる人は大勢います。特にそれが人生の一大イベントであった微笑ましい二人のお客様にも、知り合いとはいえ、教官としてというより「運ちゃん」としての最高のサービスができたと信じています。
ただ一つ、しばらく前に強風で凹んでしまったBCプレイス・スタジアム(バンクーバーにある、東京ドームのような室内競技場)の屋根をネタにした観光ガイドのとっておきジョークが、屋根が元通りに膨らんでしまいご披露できなかったのが残念ですが。

あまりにも今日の話題と正反対の「運ちゃん」像を描いた、あまりにも名作の「タクシードライバー」、お薦めです。個人的にはロバート・デ・ニーロよりも、あまりにも猥雑で、あまりにも痛々しく、あまりにも少女なジョディー・フォスターが魅力的です。




きょうびのにゃんこ
空港のレストラン業務にも何らかの関わりを持つらしい、影のエアポートマネージャー氏。
きょうびのにゃんこ_054




きょうびのにゃんこ_055




きょうびのにゃんこ_066


スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
タクシーのお話し
子供の頃に読んだお話しというのは、あまんきみこ作「車のいろは空のいろ」ではないでしょうか。空色のタクシーに乗る運転手が次々に不思議なお客さんを乗せる話しです。
国語の教科書にも採用されていました。私も好きな童話でした。
2007/01/29(月) 12:47:18 | URL | stone #T96qf/dQ[ 編集]
かわいらしいタイトルに再び感動です。
stone さん、

早速お教えいただき、ありがとうございます。作者の名前も作品名もまだピンとこないのですが、思い出せないだけで、まず間違いないと思います。なぜなら文章を書きながら「いや、あれは絵本じゃなくて確か教科書だったはず」と自分の中で8割くらい教科書で読んだことを確信していたからなのです。

あとは後席のオレンジですね!

早速カナダからアマゾンで注文して、もし違っていたら地元の図書館に寄贈したいと思います。
合っていたら、休日にじっくり読書を楽しんだあと、やはり地元の図書館に寄贈したいと思います。

どんな物語であったとしても、たくさんの子供たちにぜひ読んでもらいたいものです。

。。。日本語の読める子だけに限られますが 。。。


stone さん、
もう一度、ありがとうございました。



2007/01/29(月) 22:34:35 | URL | titmouse #-[ 編集]
お役に立てれば幸いです
多分、間違いないと思います。物語に出てくるのはオレンジではなく、夏みかんですが。

いつもブログを拝見させてもらっています。2年前、シアトルに住んでいたことがあるんで、バンクーバーは何となく親近感があります。今はロサンゼルスなので、ちょっと遠いですけど。
2007/01/30(火) 13:05:09 | URL | stone #2sQQXnjA[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。